「ウナギの寝床」っていう言葉を聞いたことがありますか?細長い家のことです。これは、京都の町にある家の特徴を指してます。では、なぜ京都の町屋は細長くなっていったのでしょうか?そして町屋のこらされている工夫を紹介します。
なんで「うなぎの寝床」になったの?
京都の町には今でもたくさんの京町屋(100年以上前に建てられた古い家)があります。私の知り合いにも町屋に住んでいる人がいます。京都の町屋を「うなぎの寝床」と呼ばれているのは間口が狭くて、奥行きが深い特徴があるからです。
では、なぜそのような特徴になっったかと言うと、昔は間口の幅で税金が決められていたそうです。そこで京都の人は考えて間口を狭く奥行きを深くして節約したのが理由の一つです。
もう一つの理由としては、間口を狭くすることによって、店の数が増え、にぎやかに見えるようにしたとも言われております。
実際に入ると思っているより奥深いですよ。私が知っているとこで40mぐらいはあります。もっとふかいとこもあると思います。
町屋にこされている工夫
京町屋に入ってみると大体、奥まで続く通路があります。そこに「おくどさん(かまど)」「はしり(流し)」井戸などがあります。この通路に沿って表から「店→客間→中庭→座敷→奥庭」となっております。どこも大体この中庭(いつも坪庭と呼んでいる)がどこの家にもあります。客間では、この坪庭を見ながら接待が出来るようになっています。坪庭の奥の座敷が「よめかくし」と言われている生活スペース(プライベートルーム)になっています。
家の外にも様々な工夫がされております。表の窓には「格子」があり、これは家の中に明かりを入れるためと風通しをよくするためにつけられております。そして外側からは見えにくいという特徴もあります。
「犬矢来(いぬやらい)」というものもあります。これは家の表にある竹で作った囲いのようなもので、泥はねや泥棒除けに一役買っております。なぜ犬矢来という名前になったかと言うと、家におしっこをかける犬を追っ払うという言葉「犬をやらう」という言葉から「いぬやらい」という名前になったようです。京都の人は家が汚れるのを嫌ったのですね。
家と家の間に立つ壁「卯建(うだつ)」も特徴の一つです。卯建は古くは一軒の独立を表す象徴だったようですが、この壁に漆を塗ったりすることで防火壁や延焼防止の為に作るようになっていきました。
家の屋根を見ると瓦の上に守り神のような置物が置いてあります。これは「鍾馗さん」という魔除けみたいなものです。これは今でも多くの家に上がってる地区があります。銀閣寺の参道の家や、二年坂、三年坂などの家の屋根を見ていただくと置いてあります。
夏こそが見せ場、京町屋の工夫!!
はっきり言って京都の夏は暑いです。どこの南国よりも嫌な暑さがあります。だって盆地だから…。でも、そんな蒸し暑い土地京都を少しでも心地よく過ごすために、町屋も工夫をしてきたようです。
梅雨の時期になると衣替えをするシーズンになります。京町屋も衣替えをする時期に入ります。畳の上に籐で出来た敷物を敷いたり、障子や襖(ふすま)を葦戸(よしど)や簾(すだれ)に変えたりします。籐や葦は肌触りがひんやりと心地よく見た目にも涼しそうな感じがします。そして表にはすだれや葦簀が立てかけられたり、つるしたりしています。葦簀が出てきたら夏って感じがしますね。
最近はあまりなくなってきましたが、子供のころは、よく夕涼みをしたものです。夕方になると近所中が表に水をまき、そして床几(しょうぎ)をだしてしばしの談笑でした。今から考えたら親とかもあんな時間よく有ったなーと思います。
まとめ
京都の町もだんだん町屋が減ってきましたが、美観地区が多いせいかやはりずっと受け継いでいる家も多くあります。町中にも町屋を改造してのカフェやホテル(民泊)などもあり、観光に来られた方も京町屋を体験することが出来ると思います。先代の知恵と工夫を引き続き残していって欲しいものです。